帝王切開などの異常分娩でどのくらいの費用がかかる?

正常分娩と異常分娩における費用制度の違い

異常分娩は帝王切開をはじめ、吸引分娩や鉗子かんし分娩などの器械分娩、早産分娩、骨盤位分娩などのほか、分娩の経過中に会陰切開術以外の手術的な処置を行ったケースや、子宮収縮剤を使用しても分娩が初産婦で30時間以上、経産婦で15時間以上かかってしまうケースなどをいいます。

この点、正常分娩は病気とはみなされないので、健康保険の適用はありません。

つまり、3割負担など自己負担額の軽減がないので、全額自費となります。

これを補うために、出産育児一時金の制度があります。

42万円の一時金が支払われますが、これは一般的な正常分娩の費用相場です。

ゴージャスな部屋で過ごすなどお金をかけなければ、出産による経済的な負担で悩むことなく子どもが産める環境が整っているのです。

これに対して、異常分娩の場合は3割負担の対象となります。

つまり、異常分娩に要した医療機関への医療費の支払いは、3割負担となり自己負担額の軽減が受けられるのです。

 

代表的な帝王切開のケース

帝王切開は高齢出産などのケースをはじめ、正常分娩では出産が難しい状況にあるケース、事故などに遭って急遽、胎児を取り出すことが必要になったケースをはじめ、出産の痛みなどを抑えるために選択されるケースもあります。

そのため、費用は健康保険の3割負担の対象です。

ちなみに帝王切開の手術費用の相場は20万円から24万円程で、正常分娩に比べて入院日数も伸びるので入院費用も多くなります。

もっとも、健康保険の適用のほか、高額医療費制度の対象となるため、正常分娩より実質的には費用が少なく済む場合もありあます。

たとえば、帝王切開を行って10日間入院し、手術費用と入院費用の合計30万円だった場合、自己負担額は3割なので10万円で済みます。

さらに、高額療養費制度を申請して払い戻しを受ければ、実際の自己負担額は6万~9万円程度にとどめられるのです。

気を付けたい差額ベッド代や食事代

出産に伴い入院する場合、近年はゴージャスな部屋で特別な食事を摂りながら、リラックスして過ごす方も増えてきました。

こうした個室などを使うことで生じる差額ベッド代や、入院中の食事代は自己負担となり、かつ、高額療養費制度の払い戻し対象にもなりません。

仮に112,000円ずつかかるとすれば、10日入院すれば12万円がかかる計算ですが、もっとも、異常分娩では、正常分娩と同様に出産育児一時金42万円も支給されるので、正常分娩の方より自己負担額の軽減が可能です。