ADHDの治療法にはどのようなものがある?

心理社会的治療

ADHDの治療の基本となるのは、心理社会的治療です。
一人ひとりの症状や年齢、置かれている環境や性格などに合わせ、治療方針を立てて行っていきます。
心理社会的治療の代表的なものに環境調整、行動療法、ソーシャルスキルトレーニングがあります。

・環境調整

環境調整という言葉の響きから、本人が環境に合わせられるようにさせる療法のように捉えられますが、その逆です。
ADHDは周囲には気づかれにくい場合や理解されにくいのが一般的です。
周囲が思っている以上に、日常生活や学校生活、仕事に困難さや不安を感じています。
困難を感じている本人に寄り添い、本人がスムーズに生活できるよう、周囲が環境を整えることを環境調整と言います。
忘れ物が多いなら、前日や当日に家族が一緒に持ち物を確認することや忘れ物をしていないか声掛けをする、職場でミスが多いなら、よく間違えることを紙に大きな文字で書いて目に入るところに貼っておくなど、本人の状態に合わせてさまざまな工夫が考えられるでしょう。

・行動療法

望ましい行動ができた時は褒めることや評価を与えて、その行動を起こさせる方向に導くことがポイントです。
一方、望ましくない行動を取った場合には、ダメだと言うことやしかりつけるのではなく、望ましくない行動をまた起こさないようなフォローを行います。
望ましくない行動を起こすキッカケはなんだったかを振り返り、それが起こらないようにするなどです。

・ソーシャルスキルトレーニング

学校や職場をはじめ、買い物をする時や出かける先で会うさまざまな人たちと接し、社会で暮らしていくために必要なスキルを身につけるためのプログラムです。
人とのコミュニケーションの取り方や感情のコントロールの仕方、学校生活や職場での生活の送り方などを、インストラクターがマンツーマンで指導するか、少人数のグループトレーニングを行います。

薬物治療

ADHDの薬物治療は、心理社会的治療ではなかなか改善が見られないなど、思うような効果が出ない場合に、心理社会的治療と並行して行われるのが一般的です。
ADHDの原因はまだ完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質の働きがうまくいかないことが一因と考えられています。
そのため、日本ではAドーパミンと呼ばれる神経伝達物質の伝達を助けるメチルフェニデート徐放剤、ノルアドレナリンと呼ばれる神経伝達物質の伝達を助けるアトモキセチンが、ADHDの主な治療薬として用いられています。
効果の出方や副作用に違いがあるため、ADHDの特性に応じて症状を和らげるために、医師が一人ひとりに合わせて処方を行う治療法です。