病気の種類によって異なる脳梗塞の治療法

治療の種類はそれぞれ異なる

脳卒中は正式な病名ではなく、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の総称です。

そのため脳卒中の治療方法は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血それぞれで使用する薬や手術方法などが異なります。

 

脳梗塞の治療について

脳梗塞の発症から45時間を超急性期と呼んでいます。

発症後の早い段階で詰まった血管を再開通できれば、症状が劇的に改善する可能性は高まります。

超急性期の段階ではt-PAと呼ばれる血栓を溶かす薬を静脈に注射し、血管を塞いでいる血の塊を溶かす治療法が一般的です。

次に血管内治療が行われることが少なくありません。

詰まっている血管までカテーテルを通し、血の塊を削り取ったり、吸引して開通させたりする治療法です。

発症から24時間以内で内頸動脈または中大脳動脈水平部と呼ばれる太い血管が詰まっている場合には、t-PA治療に引き続き、カテーテルによる血管内治療を実施することで、後遺症を抑えられることが報告されています。

 

脳梗塞急性期からの治療

脳梗塞が起こってから48時間以内では、血が固まるのを抑制する抗凝固薬が投与されるのが一般的です。

さらに発症して12週間の急性期は、点滴による治療が実施されます。

血液をサラサラにする抗血小板薬や抗凝固薬、脳保護剤を点滴で、継続的に入れていく治療法です。

運動障害や言語障害が出ている場合には、早期にリハビリテーション治療も開始されます。

なお、発症から1ヶ月ほど経過した慢性期に入り、大きな血管が閉塞したり狭窄していたりする場合には、頸動脈内膜切除術(CEA)やステント留置術、バイパス手術などの外科的療法が実施される場合もあります。

脳出血の治療について

脳出血は原因が高血圧のケースが多いため、血圧を下げる薬が投与されます。

出血を止めるための止血剤が投与されることも少なくありません。

脳出血によって脳が圧迫されるため、浮腫をとるための抗浮腫剤も投与されるのが一般的です。

出血量が多い場合には命にかかわるケースもあるため、外科的療法として、頭の骨を外して血の塊を取り除く手術が行われることもあります。

くも膜下出血の治療について 

脳の血管にできたコブが破裂して出血する症状であるため、破裂した部位を塞ぐ手術をしなければなりません。

手術の方法は開頭クリッピング術と、血管内コイル塞栓術(動脈瘤塞栓術)の2通りがあります。

開頭クリッピング術は頭の骨を外して、コブの根元を洗濯ばさみのようなクリップではさんで塞ぐ手術です。

血管内コイル塞栓術(動脈瘤塞栓術)はコブの中に細い金属のコイルを入れて塞ぐ方法です。

カテーテルを血管に通してコイルを患部まで運ぶ方法であるため、頭の骨を外して開頭手術をすることはありません。